ラジオ波焼灼療法(RFA)や凍結療法(Cryoablation)は、手術と同様に、病変の完全な破壊を目指す局所治療です。凍結療法では、CTや超音波などの画像を見ながら腫瘍に専用の針を刺し、低温で腫瘍を凍結して破壊します。
治療の対象となるかどうかは、腫瘍の種類、大きさ、場所、周囲臓器との距離、全身状態、ほかの治療との比較をもとに判断します。このページは一般的な説明であり、実際の適応や方法は担当医が個別にご説明します。
凍結療法について
凍結療法では、体の表面から腫瘍に針を刺し、針の先端周囲を低温にして腫瘍を凍結します。画像で針の位置や凍結範囲(アイスボール)を確認しながら行う、体への負担が比較的少ない局所治療です。
手術、薬物療法、放射線治療、ラジオ波焼灼療法(RFA)などと比較しながら、患者さんごとに治療方針を検討します。
対象となる病気
凍結療法は、もともと小径の腎悪性腫瘍(4cm以下)に対して2011年から保険診療で行われてきました。2026年3月に保険適用が大きく広がり、現在は次のような腫瘍が保険診療の対象です。
- 腎腫瘍(小径の腎悪性腫瘍、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫など)
- 肺腫瘍(肺がん、転移性肺腫瘍など)
- 肝腫瘍(肝細胞がん、転移性肝腫瘍など)
- 骨軟部腫瘍(類骨骨腫、骨転移、デスモイド、静脈奇形など)
- 骨盤内悪性腫瘍
多くは、手術などの標準的な治療が体の状態から難しい場合や、標準治療で十分な効果が得られない場合の選択肢として位置づけられています。腫瘍の大きさ・場所・個数や全身状態によって適応は異なり、すべての方が対象になるわけではありません。実際に行える治療は施設の体制によっても異なります。
治療法の選択
腫瘍が小さい場合、腎機能などの臓器の働きをできるだけ温存したい場合、手術の負担が大きい場合などに検討されることがあります。ただし、腫瘍が大きい場合、重要な臓器や血管に近い場合、転移の状況によっては、ほかの治療が適していることがあります。
治療の目的(根治・症状緩和)
凍結療法は、腫瘍を凍らせて取りきり、根治を目指して行う場合と、骨転移などで痛みなどの症状をやわらげる目的で行う場合があります。目的は病気や進み具合によって異なり、治療前にご説明します。
他の治療と比べた特徴
利点:手術と比べて体への負担が比較的少なく、臓器の機能を温存しやすい治療です。凍結された範囲(アイスボール)を画像で確認しやすく、RFAに比べて治療中の痛みが少ないとされることがあります。
限界・注意点:腫瘍が大きい場合や重要な臓器・血管に近い場合には向きません。手術と違って腫瘍を体の外に取り出さないため、取りきれないと追加の治療が必要になることがあり、治療後も定期的な画像検査での経過観察が必要です。どの治療が最も適しているかは、担当科とも相談しながら決めます。
治療前の検査
CT、MRI、超音波検査、血液検査で、腫瘍の大きさ、場所、周囲臓器との距離、出血リスク、腎機能、凝固機能(血の止まりやすさ)などを確認します。必要に応じて、生検で組織を確認することがあります。
治療の方法・入院
治療は血管造影室、または手術室に準じた環境で行います。局所麻酔や鎮静を用い、CTや超音波などで位置を確認しながら凍結針を腫瘍に進めます。
凍結と解凍を組み合わせて治療を行い、腫瘍を十分に含む範囲が治療できているかを画像で確認します。腫瘍の大きさや場所によって、複数本の針を使うことがあります。所要時間や入院期間は治療部位によって異なり、事前にご説明します。
痛みへの配慮
凍結療法は治療中の痛みが比較的少ないとされますが、病変の場所や治療内容に応じて、局所麻酔、鎮静、神経ブロック、全身麻酔などを組み合わせます。治療中・治療後の痛みや体への負担をできるだけ抑えられるよう、担当診療科や麻酔科などと連携して対応します。
治療後の経過
治療後は出血や痛み、発熱、尿の色の変化などを確認します。必要に応じてCTや血液検査を行います。退院後は造影CTやMRIなどで治療効果、再発、合併症の有無を確認します。
合併症・注意点
多くは軽いものですが、まれに注意が必要な合併症もあります。
比較的よくみられるもの
- 穿刺部の痛み、発熱
- 腎の治療では一時的な血尿
頻度は低いものの、注意が必要なもの
- 出血、血腫(腎では被膜下の出血や強い血尿のことがあります)
- 感染、膿瘍形成
- 周囲臓器の損傷
- 尿管損傷、尿瘤(にょうりゅう:尿が漏れて溜まること)など、腎周囲の治療に伴う合併症
- 肺の治療では気胸(胸の中に空気がもれる)や胸水。胸腔ドレナージが必要になることがあります
- 皮膚や神経への低温による影響
- 広い範囲を凍結したときに、まれに全身に影響が及ぶ反応(クライオショック)
- 病変の残存や再発(追加治療や経過観察が必要になります)
ラジオ波焼灼療法(RFA)との違い
ラジオ波焼灼療法(RFA)は熱で焼灼する治療、凍結療法は低温で凍結する治療です。対象疾患は多くが重なりますが、腫瘍の場所、周囲臓器との距離、痛みの出やすさ、画像で確認しやすい範囲などをふまえて使い分けます。
受診について
凍結療法をご希望の方、または治療適応について相談したい方は、まず対象となる病気を担当する診療科で評価を受ける必要があります。そのうえで、凍結療法が選択肢となる場合には、IVR担当医が詳しい説明を行います。