門脈圧亢進症に対するTIPSやBRTO

TIPSやBRTOは、肝硬変などに伴う門脈圧亢進症によって生じる静脈瘤出血、腹水、胸水などに対して検討されるIVR治療です。

すべての患者さんに行える治療ではありません。肝臓、心臓、腎臓の機能、全身状態、肝性脳症の有無、静脈瘤や血管の走行などを総合的に評価して判断します。

TIPS

TIPSの治療イメージ図

BRTO

BRTOの治療イメージ図

門脈圧亢進症について

門脈は、腸などから肝臓へ血液を運ぶ血管です。肝硬変などで肝臓内を血液が通りにくくなると、門脈の圧が高くなり、静脈瘤、腹水、胸水などが問題となることがあります。

対象となる症状

  • 食道・胃静脈瘤からの出血、または出血リスクが高い静脈瘤
  • 薬物療法や内視鏡治療で対応が難しい静脈瘤
  • 治療に難渋する腹水や胸水
  • 門脈圧亢進症に伴う消化管出血

TIPSについて

TIPS(Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt;経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)は、肝臓の中で門脈と肝静脈をつなぐ通り道を作り、門脈の圧を下げる治療です。静脈瘤出血や難治性腹水などで検討されることがあります。一方で、肝性脳症が出やすくなるなどの注意点があります。

BRTOについて

BRTO(Balloon-occluded Retrograde Transvenous Obliteration;バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術)は、主に胃静脈瘤などに対して、静脈瘤へ流れ込む異常な血流をカテーテルで塞栓する治療です。静脈瘤の血流路や全身状態によって適応が異なり、内視鏡治療や薬物療法と比較して検討します。

治療の選択

TIPSは門脈圧を下げる方向の治療で、BRTOは静脈瘤への異常な血流を塞ぐ方向の治療です。病状によって向き不向きがあるため、消化器内科、IVR担当医が連携して判断します。

治療前の検査

造影CT、超音波検査、内視鏡検査、血液検査などで、門脈や静脈瘤の血流、肝機能、腎機能、凝固機能、心機能、肝性脳症の有無を確認します。

治療の流れ

治療は血管造影室で行います。首や足の付け根などの血管からカテーテルを入れ、X線透視画像を見ながら目的の血管まで進めます。TIPSでは肝臓内に通り道を作り、ステントを留置します。BRTOでは静脈瘤へ向かう血流を確認し、塞栓物質などを用いて血流を遮断します。

治療後の経過

治療後は出血、腹水・胸水の変化、肝機能、腎機能、意識状態などを確認します。TIPS後は通り道が狭くなっていないか、超音波やCTで確認することがあります。

合併症・注意点

  • 穿刺部の出血、血腫
  • 肝機能や腎機能の悪化
  • 肝性脳症の出現や悪化
  • 静脈瘤や血管からの出血
  • ステントの狭窄や閉塞
  • 腹水、胸水、ほかの静脈瘤への影響
  • 造影剤アレルギー、感染など

受診について

TIPSやBRTOをご相談される場合は、まず消化器内科などで門脈圧亢進症の状態を評価します。そのうえでIVRが治療選択肢となる場合には、IVR担当医が詳しい説明を行います。