リンパ系IVR

リンパ系IVRは、リンパ管やリンパ漏の状態を画像で確認し、乳び胸水・乳び腹水、リンパ漏などに対して行うIVR治療です。

リンパの流れや漏れの場所は患者さんごとに異なります。保存的治療、外科的治療、薬物療法などと比較しながら、担当診療科と連携して治療方針を検討します。

リンパ系IVRの治療イメージ図
図は治療や処置の流れを説明するためのイメージです。実際の方法は病気の状態や体の構造によって異なります。

リンパ系IVRについて

リンパ液は全身を流れる体液の一つです。手術、外傷、腫瘍、先天的なリンパ管の異常などによりリンパ液が漏れると、胸水、腹水、創部からの排液などが続くことがあります。リンパ系IVRでは、画像でリンパの流れを調べ、漏れの原因となる部位に対して塞栓などを検討します。

対象となる状態

  • 乳び胸水
  • 乳び腹水
  • 手術後のリンパ漏
  • 外傷後のリンパ漏
  • リンパ管の流れの異常が疑われる状態

治療前の検査

CT、MRI、リンパ管造影、超音波検査、胸水や腹水の検査、血液検査などを行い、リンパ漏の場所や量、全身状態を確認します。漏れの場所がはっきりしない場合は、治療前または治療中に追加の画像評価が必要となることがあります。

治療の方法

リンパ管造影でリンパの流れを確認し、漏れの部位や原因となるリンパ管が確認できる場合には、針や細い管を用いて塞栓を行うことがあります。治療方法は、漏れの場所やリンパ管の太さ、周囲臓器との位置関係によって異なります。

治療後の経過

治療後は胸水や腹水、ドレーン排液の量、呼吸状態、腹部症状、発熱などを確認します。効果が現れるまでに時間がかかることがあり、栄養管理やドレーン管理などを続けながら経過を見ます。

リンパ管塞栓術後も排液量の改善が乏しい場合や、原疾患の進行などにより根治が難しい場合には、症状緩和を目的としてデンバーシャント留置を検討することがあります。デンバーシャントにより、繰り返しの穿刺やドレーンの長期留置を減らせる可能性があり、患者さんの生活の質(QOL)の改善につながることがあります。適応については、治療経過、全身状態、原疾患の状況などをふまえて、担当医と相談のうえ判断します。デンバーシャントを検討する場合は、合併症や日常管理の注意点についても説明します。

デンバーシャントとは:体腔内に貯留した液体を静脈内に戻すための皮下埋め込み型のシャント装置です。体腔側チューブ、皮下ポンプ(バルブ)、静脈側チューブから構成されます。患者さん自身が、説明を受けた方法でポンプを手で繰り返し押すことで、貯留液を静脈へ還流させます。

デンバーシャントの構造を示した模式図

合併症・注意点

  • 穿刺部の痛み、出血、感染
  • 造影剤や薬剤によるアレルギー
  • 発熱、腹痛、胸痛など
  • 塞栓物質が目的外の部位に流れるリスク
  • 効果が不十分で追加治療が必要となる可能性

受診について

リンパ漏や乳び胸水・乳び腹水でリンパ系IVRをご相談される場合は、まず担当診療科で原因や全身状態を評価します。そのうえで、IVRが治療選択肢となる場合には、IVR担当医が詳しい説明を行います。