ラジオ波焼灼療法(RFA)や凍結療法(Cryoablation)は、手術と同様に、病変(腫瘍)の完全な破壊を目指す局所治療です。RFAでは、CTや超音波などの画像を見ながら腫瘍に電極針を刺し、ラジオ波による熱で病変を焼灼(焼いて固めること)します。
RFAの対象となるかどうかは、腫瘍の種類、大きさ、場所、周囲臓器との位置関係、全身状態、ほかの治療(手術・薬物療法・放射線治療・凍結療法など)との比較をもとに判断します。すべての方が対象になるわけではありません。このページは一般的な説明であり、実際の適応や方法は担当医が個別にご説明します。
RFAについて
ラジオ波焼灼療法(RFA)では、体の表面から病変に電極針を進め、ラジオ波で発生する熱により腫瘍を焼灼します。画像で針の位置を確認しながら行う局所治療で、手術、薬物療法、放射線治療、凍結療法(Cryoablation)などと比較して方針を決めます。
対象となる病気
国内では、肝腫瘍を中心に、小径の腎悪性腫瘍、標準的な手術などが難しい肺悪性腫瘍、悪性骨腫瘍、類骨骨腫、骨盤内悪性腫瘍、軟部腫瘍、早期乳癌などが保険診療の対象です。
ただし、それぞれ腫瘍の大きさ・個数・転移の有無などに条件があり、すべての方が対象になるわけではありません。たとえば早期乳癌では、しこりが1.5cm以下で単発、リンパ節や全身への転移がないことなどが条件です。条件を満たすかどうかは検査のうえで判断します。
治療が検討される場合
腫瘍が比較的小さく、画像で安全な穿刺経路が確認でき、周囲臓器への熱の影響を避けられる見込みがある場合に検討されます。肝腫瘍では肝機能や腫瘍の個数、腎腫瘍では腎機能、肺腫瘍では呼吸機能なども重要です。
類骨骨腫に対するRFA
類骨骨腫は、若年の方にみられることがある良性の骨腫瘍です。強い痛みを伴うことがあり、特に夜間に痛みが目立つことがあります。国内では、類骨骨腫に対するRFAが保険診療の治療選択肢となっています。
当院では、病変の場所や患者さんの状態を確認し、整形外科と相談しながら治療方針を検討します。CTなどの画像で病変を確認しながら針を進め、必要に応じて診断目的の組織採取を行った後、焼灼を行います。
治療の目的(根治・症状緩和)
RFAは、腫瘍を焼いて取りきり、根治を目指して行う場合と、骨転移などで痛みをやわらげることを主な目的として行う場合があります。目的は病気や進み具合によって異なり、治療前にご説明します。
他の治療と比べた特徴
利点:手術と比べて体への負担が比較的少なく、肝臓や腎臓などの機能を温存しやすく、入院期間も短い傾向があります。
限界・注意点:腫瘍が大きい場合や、重要な臓器・血管に近い場合には向きません。手術と違って腫瘍を体の外に取り出さないため、焼け残りがあると追加の治療が必要になることがあり、治療後も定期的な画像検査での経過観察が欠かせません。どの治療が最も適しているかは、担当科とも相談しながら決めます。
治療前の検査
CT、MRI、超音波検査、血液検査で、腫瘍の種類、大きさ、場所、凝固機能(血の止まりやすさ)、腎機能、造影剤アレルギーなどを確認します。必要に応じて、生検やほかの診療科での評価を行います。
治療の方法・入院
局所麻酔や鎮静を用い、CTや超音波で位置を確認しながら電極針を病変へ進めます。針の位置を確認したうえでラジオ波を流し、病変を熱で焼灼します。治療範囲や針の本数は、病変の大きさや場所によって異なります。
治療部位や麻酔の方法によって、所要時間や入院期間は異なります。多くは短期間の入院で行いますが、具体的な日数や流れは事前にご説明します。
痛みへの配慮
RFAでは病変の場所や治療内容に応じて、局所麻酔、鎮静、神経ブロック、全身麻酔などを組み合わせることがあります。治療中や治療後の痛み、不安、体への負担をできるだけ抑えられるよう、担当診療科や麻酔科などと連携して対応します。
治療後の経過
治療後は出血、痛み、発熱、臓器機能の変化などを確認します。治療部位によっては、胸部X線、CT、血液検査などを行います。退院後は画像検査で治療効果や再発の有無を確認します。
合併症・注意点
多くは軽く、数日で落ち着くものですが、まれに注意が必要な合併症もあります。
比較的よくみられるもの(多くは数日で軽快)
- 穿刺部や治療部位の痛み、発熱
- 治療後の一時的なだるさ・微熱(焼灼後症候群)
頻度は低いものの、注意が必要なもの
- 出血、血腫
- 感染、膿瘍形成
- 周囲臓器への熱損傷(腸管、胆管、神経、横隔膜など)
- 肺の治療では気胸(胸の中に空気がもれる)や胸水。胸腔ドレナージ(管を入れて空気や水を抜く処置)が必要になることがあります
- 肝の治療では肝機能の悪化、胆道系の合併症、ごくまれに針の通り道に腫瘍が広がること(播種)
- 体に貼る電極(対極板)による皮膚の熱傷
- 病変の残存や再発(追加治療や経過観察が必要になります)
- ごくまれに、大出血など重篤な合併症が生じることがあります
凍結療法(Cryoablation)との違い
ラジオ波焼灼療法(RFA)は熱で病変を焼灼し、凍結療法(Cryoablation)は低温で病変を凍結します。どちらが適しているかは、病変の種類、場所、周囲臓器との距離、治療中の痛み、画像で確認しやすい範囲などをもとに判断します。
受診について
RFAをご希望の方、または治療適応について相談したい方は、まず対象となる病気を担当する診療科で評価を受ける必要があります。そのうえで、RFAが治療選択肢となる場合には、IVR担当医が詳しい説明を行います。